用語 意味
ノンポイント汚染源
Non-point source
排出を特定しにくい汚染発生源。具体的には、道路の交通に起因する騒音等、屋根・道路・グランド等に堆積した汚濁、農地・山林・市街地などにおける落ち葉・肥料・農薬などを含み、汚染源が面的に分布し、風雨などによって拡散・流出して負荷の原因となる場合もある。非点汚染源、面汚染源、面源などとも呼ばれる(引用元: EICネット)。工場や下水処理場などのポイント汚染源と比べて発生源が特定しにくく、また、その負荷量の定量化も難しい。
ポイント汚染源
Point source
工場など特定の場所から汚染物質が排出されるような汚染源のこと。点源とも呼ばれる。大規模工場・事業所など特定しやすい汚染源であることから、特定汚染源という場合もある。点汚染源は特定しやすいことから水質規制の対象とされてきた。(引用元: EICネット)。ポイント汚染源からの汚濁負荷が削減されるにつれて、ノンポイント汚染源からの汚濁負荷が相対的な重要性を増している。
排水基準
Effluent standard
水質汚濁防止法において、特定施設を設置する工場又は事業所から公共用水域への排出水に義務付けられた基準のこと。全国一律の排水基準で十分でないと認められる場合には、都道府県条例に基づいてより厳しい上乗せ排水基準を定めることが出来る。
環境基準
Environmental quality standard
環境基本法(1993)の第16条に基づいて、政府が定める環境保全行政上の目標。人の健康を保護し、及び、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準。 政府は、公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、環境基準の確保に務めなければならないとされている。これに基づき、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音などに関する環境基準を定めている。また、これら基準は、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならないと規定されている(引用元: EICネット)。
合流式下水道
Combined sewer system
汚水と雨水を同一の管路で下水処理場まで排除する下水道を合流式下水道と呼ぶ。合流式では、雨水が洗い流した道路上の汚濁物質も下水処理場で処理できる上、管路が一つで済むため整備コストが安く効率的などの利点がある(引用元: EICネット)。一方、汚水と雨水を分離した管路で下水処理場まで排除する下水道を分流式下水道という。合流式下水道では、強い降雨時に合流式下水道越流水が生じるため、対策が求められている。
合流式下水道越流
Combined sewer overflow
雨天時や融雪時に、合流式下水道において、雨水吐き口や雨水ポンプ場などから未処理下水および雨天時排水が越流すること。CSOと略すことが多い。CSOによる負荷を削減するために、貯留施設の設置などの対策がとられつつある。
分流式下水道
Separated sewer system
汚水と雨水を別々の管渠系統で排除し、雨水はそのまま公共用水域に放流し、下水のみを終末処理場で処理する方式の下水道。 一方、汚水と雨水とを同一の管路で下水処理場へと排除する方式の下水道を合流式下水道という。2本管を布設しなければならないので、建設費は余計にかかるが、雨水と汚水が完全に分断されるので、合流式のように汚水が川に流れ込むようなことはない。(引用元: EICネット)。ただし、雨天時排水に含まれるノンポイント汚染物質は下水処理場による除去を受けずに、水環境へと流出される。
エアロゾル
Aerosol
固体または液体の微粒子が、気体中に比較的安定して浮遊し存在している状態をエアロゾルという。大気中のエアロゾルには、海水の飛沫からなる海塩粒子や土壌粒子のような自然起源のものから、石炭燃焼で生じるフライアッシュなどの人為起源の粒子がある(参照元: EICネット)。エアロゾルは、ノンポイント汚染源の一つであり、降雨水の水質に影響を与える。
降下ばいじん
Dust fall
降下ばいじんとは、大気中に排出されたばいじん(燃料その他の物の燃焼または熱源として電気の使用に伴い発生するすすや固体粒子)や風により地表から舞い上がった粉じん(物の破壊、選別等の機械的処理又は鉱石や土砂の推積に伴い発生し、又は飛散する物質)などのうち、比較的粒径が大きく重いために大気中で浮かんでいられずに落下(降下)するもの、あるいは雨や雪などに取り込まれて降下するものをいう(引用元: EICネット)。
多環芳香族炭化水素類
Polycyclic aromatic hydrocarbons
2つ以上の縮合した芳香環をもつ化合物の総称を指す。ベンゾ[a]ピレン(benzo[a]pyrene)はその代表例である。急性毒性・慢性毒性・発がん性を持つものが多くある。石油および燃焼活動に由来し、道路面などの不浸透面に堆積する。代表的なノンポイント汚染物質である。Polynuclear aromatic hydrocarbonsとも呼ばれる。
先行晴天日数
Antecedent dry weather days
対象とする日より以前の晴天が継続した日数。先行晴天日数が長く続くと、ばいじん、ダストなどの汚濁物質が地表に堆積するため、ファーストフラッシュ時の汚濁負荷濃度が高くなる傾向にあるといわれている。
ファーストフラッシュ現象
First flush phenomenon
降雨初期に高濃度の汚染物質が流出すること。その後、降雨の継続とともに濃度の低下が見られるといわれている。ファースト・フラッシュの水質は調査地点、降雨状況によってばらつきがみられる(参照元: EICネット)。
降雨強度
Rainfall intensity
単位時間当りの降雨量のこと。mm/hrなどの単位で表す。気象庁では、10〜20mm/hrの降雨を「やや強い雨」、20〜30mm/hrの降雨を「強い雨」、30〜50mm/hrの降雨を「激しい雨」、50〜80mm/hrの降雨を「非常に強い雨」、80mm/hr以上の降雨を「猛烈な雨」と分類している(参照元: 気象庁)。
汚濁負荷流出モデル
Wash-off model
汚濁負荷量、濃度を推定することを目的として汚濁負荷流出現象をモデル化したもの。モデルの適用面から、構造、出力および精度が異なる様々なモデルが存在する(参照元: 和田安彦 (1990)「ノンポイント汚染源のモデル解析」)。負荷量を把握しにくいノンポイント汚染に適用されている。
汚濁負荷発生原単位
Pollutant unit
文献値や過去の調査事例を参考に、各発生源からの汚濁負荷発生量の実測データをそれぞれの単位当たりの汚濁負荷発生量として求めたもの。汚濁負荷発生原単位は、すべての発生源について個々に汚濁負荷発生量を実測するのが現実的ではないときに、その発生量を推定するために用いる。大規模な工場や下水処理場などの大発生源や、参考にすべきデータがない発生源については実測が行われる(参照元:和田安彦 (1990)「ノンポイント汚染源のモデル解析」)。
細密数値情報
Detailed degital information
首都圏、中部圏、近畿圏における宅地利用動向調査をもとに作成された土地利用に関する数値情報のこと。細密数値情報(10mメッシュ土地利用)は10mメッシュの土地利用データと行政区域データで構成されており、地理情報システムに利用することが出来る(参照元:国土交通省国土地理院)。
GIS
Geographic information system
地理情報システム(Geographic Information System)の略語。一般的には、位置に関する情報を持ったデータをコンピュータ上で視覚的に表現し、重ね合わせたり、定量的に計測するなどにより様々な解析等を可能とするもの(引用元: EICネット)。土地利用情報などと組み合わせることで、流域単位でのノンポイント汚染現象の解析などに用いられる。
集中型モデル
Lumped model
流域を一括として捉えることで、マクロな観点から扱う理論モデルのこと。分布型モデルに比べて、実用上簡便であるという利点がある。
分布型モデル
Distributed model
流域をメッシュ分割し、要素ごとの流出解析を行うことで、集中型モデルに比べて、より現実の流出負荷の状況を的確に表したモデルである。しかし、実用の観点からは、必要なデータ入力やモデル係数が多くなるなど、欠点もある。
浸透施設
Infiltration facilities
道路排水や屋根排水などの雨天時排水を地下へと浸透させる施設のこと。例として、透水性舗装、雨水浸透桝、浸透トレンチ、浸透LU側溝などが挙げられる。雨水の流出抑制の観点から導入されてきた一方で、地下水涵養や都市ノンポイント汚染物質の除去などにも寄与しうる。
透水性舗装
Permeable pavement
道路や歩道を間隙の多い素材で舗装して、舗装面上に降った雨水を地中に浸透させる舗装方法をいう。 地下水の涵養や集中豪雨等による都市型洪水を防止する効果があるため、主に、都市部の歩道に利用されることが多い。 また、通常のアスファルト舗装に比べて太陽熱の蓄積をより緩和できるため、ヒートアイランド現象の抑制の効果もある。舗装の素材として、高炉スラグ、使用済みガラス等のリサイクル材料を利用する工法も開発されている。(引用元: EICネット